はじめに
TikTok広告の運用は今や多くの企業にとって欠かせない集客チャネルになりました。
中でもIn-feed Adsはユーザーの「For You」フィードに自然に溶け込みやすく、強力なエンゲージメントを生み出せるフォーマットです。
ところが実際に運用してみると、ターゲティング設定でつまずき、CPAが想定より高騰するケースが少なくありません。
この記事では最新の公式ガイドラインと運用現場の知見を踏まえ、In-feed Adsのターゲティング設定を基礎から応用まで網羅的に解説します。
TikTok In-feed Adsとは?
In-feed Adsは、TikTokのメイン画面「For You」フィードに挿入されるフルスクリーン縦型動画広告です。
最大60秒まで配信でき、コメント、シェア、いいね機能が利用可能なため、オーガニック投稿に近い体験を提供できます。
課金方式はCPM、oCPM、CPC、CPAが選択でき、キャンペーン目的に応じて自動最適化が働きます。
ターゲティング設定の全体像
TikTok広告マネージャーでは、以下三層のターゲティング設定が用意されています。
1. コアオーディエンス
年齢、性別、居住エリア、言語、興味関心、行動など、プラットフォーム内データを活用する標準的なセグメントです。
2. カスタムオーディエンス
自社の顧客リスト、アプリイベント、ウェブサイト訪問者などを基に再アプローチできるリマーケティング用セグメントです。
3. 類似オーディエンス(Lookalike)
カスタムオーディエンスを母集団に、アルゴリズムが類似ユーザーを自動抽出して拡張配信します。
最新アップデートで追加されたターゲティング機能
検索キーワードターゲティング
検索タブに広告を表示する際、ユーザーが入力したキーワードを指定して配信できる新機能です。
ブランド指名検索や比較検討系クエリを狙うことで購入意欲の高いユーザーへリーチ可能です。
行動インテントシグナル
TikTokは動画視聴完了率やエンゲージメント指標を基に「購入意図」をリアルタイムで解析し、最適配信を行います。
設定画面で「Optimization Event」をPurchaseやLeadにするとアルゴリズムがインテントの高い層を優先します。
成果を最大化するターゲティング5つのポイント
ポイント1:狭すぎる設定を避ける
推奨オーディエンスサイズは最低でも10万以上です。
学習フェーズを早く終わらせるため、最初は興味関心を3〜5テーマに絞る程度にとどめます。
ポイント2:カスタムオーディエンスでLTVを底上げ
購入者リストをアップロードし、30・60・90日でセグメントを分けるとRFM分析に近い粒度で回収が可能です。
ポイント3:類似オーディエンスは1%と3%をテスト
類似度1%はコンバージョン率が高い一方でスケールが限定されます。
まず1%で勝ちクリエイティブを見つけた後に3%へ拡張し、CPMとCPAのバランスを取ります。
ポイント4:デバイスと接続環境を活用
高単価商品はWi-Fi接続ユーザーに絞ると動画完視聴率が安定します。
ゲームやアプリ案件はOSバージョンや端末価格帯でフィルタリングし、ストア遷移のCVRを向上させます。
ポイント5:自動ターゲティング(Audience Automation)の活用
最近追加されたAudience Automationは学習フェーズ後に手動設定を上書きして配信範囲を自動拡張します。
CPAが目標を下回ったタイミングでオンにすると、機械学習が機会損失を防ぎます。
ターゲティング改善チェックリスト
次の表をコピーして社内チェックに活用してください。
項目 | 理想値/設定目安 | 確認頻度 |
---|---|---|
オーディエンスサイズ | 10万〜200万 | 週次 |
学習フェーズ完了 | 50CV獲得 | 日次 |
リマーケティング窓 | 30/60/90日 | 月次 |
クリエイティブ本数 | 3本以上 | 週次 |
Audience Automation | CPA達成後ON | 都度 |
よくある質問と誤解
Q1:興味関心だけで十分ですか?
A1:興味関心は初期テストに有効ですが、CVボリュームが増え次第、行動データやカスタムオーディエンスへ切り替えるべきです。
Q2:ターゲティングを増やすと配信が安定しますか?
A2:過度な重ね掛けは学習を阻害し、配信量も低下します。
基本はシンプルに設定し、クリエイティブと入札で差別化する方が成果が出やすいです。
Q3:CPAが高騰したらどうする?
A3:配信停止ではなく、まずは最終接触ポイントを分析し、Audience Automationをオフにしてリマーケティング比率を上げることで改善余地が見込めます。
まとめ
In-feed Adsのターゲティングは「広く集めて、データで絞る」が鉄則です。
狭いスタートは学習データを阻害し、結果として高CPAを招きます。
今回紹介した5つのポイントとチェックリストを参考に、まずはオーディエンスを十分に確保した上で、段階的に最適化を進めてみてください。
TikTok広告はアップデートが頻繁なプラットフォームです。
最新情報を取り入れながら運用フローを磨き、限られた予算でも最大限の効果を引き出しましょう。